アルミニウムとは
アルミニウムの歴史
アルミニウムの製造方法
室温における純アルミニウム(99.996%)の性質
アルミニウムの特性
アルミニウムの陽極酸化処理(アルマイト)性
合金番号の説明
押出・引抜とは
鍛造
鋳物

アルミニウムとは
 地殻を構成する元素の中で、アルミニウム(7.6%)は、酸素(49.5%)、ケイ素(25.8%)についで3番目に多く含まれている物質で、自然界では、酸素やケイ素、鉄などと化合物を作っています。
 アルミニウムは酸素と非常に強い結合力で結び付いている物質で、長い間、従来の方法である、鉱石から炭素による熱を用いた方法で、還元して金属として分離することが出来なかったために、量産できる金属としては新しい金属の部類に入ります。
地殻を構成する元素

アルミニウムの歴史
 アルミニウムは、今からさかのぼること約200年前の1807年に、イギリスのハンフリー・デービィー(1778-1829)によって発見されました。
 ハンフリー・デービィーは、明ばんに含まれている酸化物である、アルミナと炭酸カリウムを電気分解して分離させようとしましたが、失敗におわり、酸化アルミニウムであるアルミナを得るにとどまりました。
 そこで、この未知の金属を、明ばんのalumに、金属用語特有のiumを語尾に付けて、Alumium(アルミアム)と命名しました。

 また、1821年に、南フランスのレボー村(Les Baux)で、ベルチェが、当時赤色粘土と考えられていた岩石を分析した結果、粘土ではないラテライトに似た鉱石(アルミナ分(酸化アルミニウム)を50%以上も含んでいる)を発見し、その地名にちなんでボーキサイトと名付けられました。
 ラテライトというのは、熱帯地方で特殊な地表風化作用により、火成岩が分解し、酸化鉄の多いものに変わったものであり、長い間、ボーキサイトとの区別はつきませんでした。
 現在では、ラテライトの中でもアルミナ分が特に多く、アルミナの原鉱石となるものをボーキサイトと呼んでいます。
 ボーキサイトは日本には全く存在しないので、全てを輸入に頼っています。
 主な輸入先は、オーストラリアやインドネシア、マレーシアなどです。

 そして時がたち、発見されてから18年後の1825年に、デンマークの電気物理学者、ハンス・クリスチャン・エルステッド(1777-1851)の手によって、アルミニウムの金属として、歴史史上初めて分離することに成功しました。
 つづいて1827年に、ハンフリー・デービィーがドイツに居た時の助手であった科学者、フリードリッヒ・ヴェーラー(1800-1882)の手によって分離に成功しています。
 これは、ハンス・クリスチャン・エルステッドが分離したアルミニウムよりも純粋なものでした。
 しかし、当時の抽出は実験的なものであったために、1kgあたり6000フランという高値で取り引きされたという記録も残っています。
 また、1854年にフランスの科学者サント・クレール・ドビル(1818-1881)が、フリードリッヒ・ヴェーラーの方法を改良してアルミニウムの分離に成功。この方法がフランスの学会やナポレオン三世の目にとまり、更に改良を加え、1856年に、初の製錬工場が設立されました。
 ナポレオン皇帝の大切な客には、アルミニウムのスプーンやフォークを出し、普通の客には金銀製のものを出したという話もこの頃に出来ました。
 1859年には、ロンドンで、ガーハードがサント・クレール・ドビルの方法でアルミニウムの製錬が行われましたが、アルミニウムを1kg製錬するのに、高価なナトリウムを3kgも必要だったため、価格は下がりませんでした。
 1886年には、アメリカの化学者、チャールズ・マーチン・ホール(1863-1914)が、氷晶石を溶剤にしてアルミニウムを解かし、その溶液を電気分解してアルミニウムを抽出するという、今日のアルミニウム電解法の基礎となるものを発明しました。
 また、これと同時期に、フランスの学者ポール・ルイ・ツーサン・エルー(1863-1914)が、アメリカのチャールズ・マーチン・ホールと全く関り合いはなく、しかも全く同じ方法で抽出に成功し、この2人の名前をとって、ホール・エール法という名前で、アルミニウムの製造工程の一つとして現在でも使用されています。
 また、のちに、1888年にオーストラリアの化学者、カール・ジョセフ・バイヤーが、けい酸分の少ないボーキサイトをアルカリで溶解して、アルミナを抽出する方法を発明しました。
 これが現在でも使われている湿式法、もしくは、バイヤー法と呼ばれているものです。
日本では、1867年(慶応3年)、パリの産業博覧会に、フランスの皇帝であったナポレオン三世の招きを受けて、徳川昭武や渋沢栄一らの使節団が初めてアルミニウム製品を見たのをきっかけに、同年の10月に江戸開物社から刊行された日本最初の雑誌である、西洋雑誌の巻一に、「新銀ならびにアリユミニウムと名づくる金属の説」と記事が掲載されたのが始まりだとされています。
 ホールとエールがアルミニウムの製錬法を発明した翌年の1887年(明治20年)に、日本で初めてアルミニウムが輸入され、1894年(明治27年)には、大阪で初めてアルミニウムの製品がつくられました。
 そして1900年(明治33年)に、初めての家庭用のアルミニウム製品が大阪で作られ、翌年の1901年(明治34年)には、日本で初めての民間のアルミニウム器物工場、高木アルミニューム製造所(現、日本アルミニウム工業株式会社の全身)が大阪で発足しました。

 日本では、アルミニウムの消費量が世界でも多いにもかかわらず、年間350万トンの使用に対して、1%の3万トンを生産するのみで、100万トンのスクラップ以外は、すべて海外からの輸入に頼らざるをえないのが現状です。

アルミニウムの製造方法
 アルミニウムの製造は、アルミニウムの原料である、ボーキサイトからアルミナを抽出する方法と、その抽出したアルミナから、アルミニウムを製造する二つの工程に大きく分けることが出来ます。
 アルミナの製造は、前述したバイヤー法によって製造します。
 バイヤー法とは、ボーキサイトを水酸化ナトリウム液で溶かすことによって、アルミン酸ナトリウム液を作り、アルミナ分を抽出します。
 そして、バイヤー法で得られたアルミナを溶解氷晶石の中で電気分解することにより、金属アルミニウムを製造します。
 これが、前述したホール・エール法と呼ばれているものです。
 この方法だと、アルミニウムを1トン製造するのに必要なボーキサイトは、約4トンにもなります。

室温における純アルミニウム(99.996%)の性質
項  目 数値
CGS系 SI単位系
原  子  量 26.98
原 子 番 号 13
結 晶 構 造 面心立法
格 子 定 数 4.0496*10-8
密  度 2.70 g/cm3
線膨張係数 23.7*10-6/deg 23.7*10-6/K
融  点 660.4 ℃
融  解  熱 94.6 cal/g 10.7 KJ/mol
沸  点 2470 ℃
蒸 発 熱 2576 cal/g 291 KJ/mol
比  熱 0.215 cal/(g・deg) 24.3 J/(K・mol)
熱 伝 導 率 0.566 cal/(cm・s・deg) 237W/(m/K)
電気伝導率 37.66 m/(Ω・mm2) 37.66 Sm/mm2
比 抵 抗 0.02655Ω・mm2/m
抵抗の温度係数 4.2*10-3
電気化学当量 0.3354 g/(A・h)
磁 化 率 0.61*10-6 cm3/g
ヤ ン グ 率 6.97*103 kgf/mm2 68.3*109 N/m2
剛 性 率 2.60*103 kgf/mm2 25.5*109 N/m2
ポアソン比 0.34

アルミニウムの特性
軽い
アルミニウムの比重は2.7。鉄(7.8)や銅(8.9)と比べると約1/3です。軽量化による性能向上が時代のニーズとなっているいま、とくに自動車、鉄道車両、航空機、船舶、コンテナなどの輸送分野で多くのアルミニウムが使われています。また軽さを生かして、各種機械の高速回転部品や摺動部品の作動効率を高めたり、装置の大型化による重量増加を抑えるなど、さまざまな効果をもたらしています。
強い
アルミニウムは比強度(単位重量当りの強度)が大きいため、輸送機器や建築物などの構造材料として多く使用されています。
純アルミニウムの引張強さはあまり大きくありませんが、これにマグネシウム、マンガン、銅、けい素、亜鉛などを添加して合金にしたり、圧延などの加工や、熱処理を施したりして、強度を高くすることができます。最近では、リチウムを添加した低密度、高剛性の合金が開発され、航空機や大型構造物用の材料として注目されています。
耐食性がよい
アルミニウムは空気中では、ち密で、安定な酸化皮膜を生成し、この皮膜が腐食を自然に防止します(皮膜の自己補修作用)。この皮膜を人工的に生成させるのがアルマイトです。耐食性をさらに高め、強度も兼ね備えたアルミ合金は各種の用途に採用されており、とくに建築、自動車、船舶、海洋開発などの分野ではこの特性が大いに生かされています。
加工性がよい
アルミニウムは塑性加工がしやすく、さまざまな形状に成形することが可能です。たとえば、紙のように薄い箔や、複雑な形状の押出形材を容易に製造することができることから、きわめて広い用途で使用されています。
また、できあがった製品素材をさらに成形加工したり、製品の表面などに精密加工を施したりすることも比較的容易です。また切削加工性にもすぐれており、金型などの工具類や機械部品に使われています。
電気をよく通す
アルミニウムは導電体としてきわめて経済的な金属です。電気伝導率は銅の約60%ですが、比重が約1/3であり、そのため同じ重さの銅に比べて2倍もの電流を通すことができます。現在では高電圧の送電線の約99%に採用されるとともに、導体(板・管)などに広く使われており、エネルギー利用、エレクトロニクス分野での需要が大きく伸びてきています。今後、自動車のワイヤーハーネスへの適用拡大が期待されます。
磁気を帯びない
アルミニウムは非磁性体で、磁場に影響されません。この特長は、アルミニウムの他の特性である、軽い、耐食性にすぐれている、加工性がよい、などと組合わせることによって、さまざまな製品に生かされます。おもな製品としては、パラボラアンテナ、船の磁気コンパスなどの計測機器、電子医療機器、メカトロニクス機器などがあげられますが、さらにはリニアモーターカーや超電導関連機器にいたるまで、その用途が大きく広がっています。
熱をよく伝える
アルミニウムの熱伝導率は鉄の約3倍。熱をよく伝えるということは急速に冷えるという性質にもなります。そのため冷暖房装置、エンジン部品、各種の熱交換器、ソーラーコレクター、また、飲料缶などにもこの特性が生かされています。最近の高密度化した機器、システムの過熱防止のための放熱フィンやヒートシンクとしても使われています。
また、この性質を利用して、プラスチックやゴムの成形用金型などの新分野にもアルミニウムが使われます
低温に強い
アルミニウムは鉄鋼などと違って液体窒素(−196℃)や液体酸素(−183℃)の極低温下でも脆性破壊がなく靭性が大きいのが特長です。低温プラントやLNG(−162℃)のタンク材として使われているうえ、最近では宇宙開発やバイオテクノロジー、極低温の超電導関連といった最先端分野でもこの特性が脚光を浴びています。
光や熱を反射する
よく磨いたアルミニウムは、赤外線や紫外線などの光線、ラジオやレーダーから発する電磁波、さらに各種熱線をよく反射します。純度の高いアルミニウムほどこの性質はすぐれており、純度99.8%以上のアルミニウムは放射エネルギーの90%以上を反射します。この特性を生かしたのが暖房器の反射板、照明器具、および宇宙服などで、最近ではアルミニウムに鏡面加工を施してこの特性をいっそう高め、ポリゴンミラーをはじめとした光エレクトロニクス製品にもよく使われています。
毒性がない
アルミニウムは、無害・無臭で衛生的。万−なんらかの化学作用で金属が溶出したり化合物をつくったとしても、重金属のように人体を害したり土壌をいためたりしません。この特性を生かして、食品や医薬品の包装、飲料缶、医療機器および家庭用器物などで広く使用されています。
美しい
アルミニウムは素地のままでも実しい金属ですが、陽極酸化皮膜処理(アルマイト処理)などさまざまな表面処理を施すことによってより美しくなり、また表面を硬くしたり、防食効果を高めたりすることができます。陽極酸化皮膜処理の際に自然発色や電解着色などによってアルミニウムに多彩な色をつけることが可能であり、建築外装や包装材などデザイン性が強く求められる分野に最適の材料です。
鋳造しやすい

アルミニウムは融点が低い、溶けた状態でも表面が酸化皮膜で覆われガスを吸収しにくい、湯流れがよいといった性質をもっています。このため薄肉の鋳物や、複雑な形状の鋳物をつくることができます。アルミ鋳造品はピストン、シリンダーブロック、ホイールなどの自動車部品、また各種産業機械部品など幅広い分野で使用されています。

接合しやすい
溶接、ろう付け、はんだ付け、電気抵抗溶接、リベット接合、接着など、さまざまな方法で容易に信頼性の高い継手が得られます。これらの接合技術の進歩はめざましく、より多くの分野で設計と施工の合理化を実現します。
真空特性がよい
アルミニウムを真空装置の材料に使ったとき、ガス放出率が非常に小さく真空到達性能が他の材料に比べてたいへんすぐれています。
そこで、各種の高真空ポンプや配管、高真空半導体装置、理化学実験装置などに活用されています。
再生しやすい
アルミニウムは他の金属と比ペると腐食しにくく、融点が低いため、使用後のアルミ製品を溶かして、簡単に再生することができます。しかも二次地金(再生地金)をつくるのに必要なエネルギーは、新地金をつくる場合と比べてわずか3%ですむといわれています。
また品質的にも、新地金とほとんど変らないものが製造できるため、たいへん経済的な材料だといえます。
とくに飲料缶では、空き缶を回収し再資源化しようというリサイクル運動が全国各地で行われており、省資源・省エネルギーを果すとともに、地球環境保護の推進にも大きな役割を担っています。
このことは、今後ますます増加するアルミ需要に対する安定供給の大きな助けになります。

アルミニウムの陽極酸化処理(アルマイト)性
合金番号 陽極酸化処理の目的
防 食 染 色 光 輝 対磨耗
1050 A A A A
1070 A A A A
1080 A A A A
1100 A A A A
2011 C C D C
2014 C C D C
2017 C C D C
2024 C C D C
3003 A B C A
3004 A B C A
4043 B B D B
5005 A A B A
5052 A A B A
5056 A A C A
5083 A A C A
5N01 A A A A
6061 A A C A
6063 A A B A
6N01 A A C A
7075 B B C B
7N01 B B C B
AC1B C C D C
AC2A C D D C
AC3A B D D B
AC4B C D D C
AC4C B D D C
AC5A C C D C
AC7A A A B A
AC8A C D D C
AC9A C D D C
ADC1 C D D C
ADC3 B D D B
ADC5 A A B A
ADC6 A B B A
ADC10 C D D C
ADC12 C D D C
備考) 陽極酸化処理性 A:優、B:良、C:可、D:困難  (JIS H 8601 付属書)
圧延用合金  砂型、金型鋳物用合金 ダイカスト用合金

合金番号の説明
圧延用合金
圧延用合金は、圧延加工や押出し加工によって、板、はく、形材、管、棒などのいろいろな形状に加工される合金で、鍛造品もこれに含まれます。
アルミニウム合金のおもな性質は、添加元素の種類と添加量によって影響されます。これらは次のような合金系に区分され、合金系ごとに類似した性質をもちます。したがって、材料の選択に当たっては、使用目的に応じて最適な性質をもつ合金を選ぶことが必要です。
 
純アルミニウム(1000系アルミニウム)
1000番台の表示は工業用純アルミニウムを示し、1100,1200が代表的です。いずれも純度99.00%以上の純アルミニウム系の材料です。ただし、1100だけはアルマイトとして知られている陽極酸化処理後の光沢をよくするために微量のCuが添加されています。1050, 1070, 1085の下二桁の数字はアルミニウムの純度を表し、それぞれ純度99.50, 99.70, 99.85% 以上の純アルミニウム材料であることを示します。この系の材料は加工性、耐食性、溶接性および電気や熱の伝導性にすぐれており、家庭用品、日用品、電気器具、送配電用材料、放熱材などに多く使用されています。しかし、強度が低いため構造材としては適していません。
 
Al-Cu-Mg系合金(2000系アルミニウム合金)
ジュラルミン、超ジュラルミンの名称で知られる2017,2024合金が代表的なもので、鋼材に匹敵する強度があり、構造用材や鍛造材として使用されています。しかし、比較的多くのCuを添加しているため耐食性に劣り、厳しい腐食環境にさらされる場合には十分な防食処理を必要とします。航空機用材料として表面に耐食性の良い純アルミニウムの板を重ね合わせて圧延加工した合せ板として使用されることもあります。
 
Al-Mn系合金(3000系アルミニウム合金)
代表的なものは3003合金で、Mnの添加によって純アルミニウムの加工性、耐食性を低下させることなく、強度を少し増加させたものです。器物、建材、容器などに広い用途があります。3003に相当する合金にMgを1%程度添加した3004, 3104合金は、さらに強度を高めることができるので、カラーアルミ、屋根板、アルミ缶などに多く使用されています。
 
Al-Si系合金(4000系アルミニウム合金)
この合金系は、比較的多くのSiを添加した合金で溶融温度が低いため、主としてブレージングろう材、溶接ワイヤーとして使用されています。また、熱膨張係数が低く、耐熱性、耐摩耗性にすぐれており、鍛造ピストン材料とし用いられている4032合金もあります。
 
Al-Mg系合金(5000系アルミニウム合金)
この合金系は耐食性や溶接性が良いことから比較的種類が多く、広い用途があります。5N01や5005合金のようにMg添加量の少ないものは、装飾用材、建材、器物用材に、5052合金のように中程度のMg添加量のものは強度も中程度であり、添加量の多いものは缶蓋材や船舶、車両、化学プラントなどの構造用材として多用されています。
 
Al-Mg-Si系合金(6000系アルミニウム合金)
この合金系は、強度、耐食性とも良好で構造用材として多用されています。アルミサッシに多量に使用されている6063合金および鉄道車両、自動車部材、陸上構造、船舶などに使用されている6N01合金は、押出し加工性にすぐれ複雑な断面形状の形材が得られます。また、少量のCuを添加して構造用鋼材に相当する耐力を有する6061合金など多くの種類があります。
 
Al-Zn-Mg系合金(7000系アルミニウム合金)
この合金系は、Cuを含まない溶接構造用合金とCuを添加したアルミニウム合金のなかで最も高い強度をもつ合金とに分類できます。Al-Zn-Mg-Cu系合金の代表的なものは、日本で開発された超々ジュラルミンの呼称で知られる7075合金で、航空機、スポーツ用品類に使用されています。
Cuを含まないAl-Zn-Mg系合金の代表的なものに、7N01,7003合金があります。比較的高い強度があり、しかも溶接部の強度は常温に放置するだけで母材に近い強度まで回復するため溶接構造用材料として鉄道車両、陸上構造物などに使用されています。
 
8000系合金(その他の合金)
この合金系は、Cuを含まない溶接構造用合金とCuを添加したアルミニウム合金のなかで最も高い強度をもつ合金とに分類できます。Al-Zn-Mg-Cu系合金の代表的なものは、日本で開発された超々ジュラルミンの呼称で知られる7075合金で、航空機、スポーツ用品類に使用されています。
Cuを含まないAl-Zn-Mg系合金の代表的なものに、7N01,7003合金があります。比較的高い強度があり、しかも溶接部の強度は常温に放置するだけで母材に近い強度まで回復するため溶接構造用材料として鉄道車両、陸上構造物などに使用されています。
 
鋳造用合金-砂型および金型鋳物用合金
後述のダイカストとは異なり、鋳型に溶湯(溶解したアルミニウム)を鋳込む際に特別な圧力を加えないため、重力鋳造法と呼ばれています。合金の種類によって鋳造性、強度、耐摩耗性、高温強さなどの特性が異なるため、その特性を活かす限られた用途に使用されています。
 
Al-Cu-Mg系合金(AC1B)
鋳造用アルミニウム合金の中で強靱性にすぐれた合金であり、切削性がよく、電気伝導性にすぐれているため架線用導電部品、自転車用部品、航空機用油圧部品等に使用されています。しかし、耐食性が劣るため腐食環境での使用は適していません。
 
Al-Cu-Si系合金(AC2A, AC2B)
前記の合金よりもCuの添加量を減らして強靱性を若干犠牲にしても、Siを添加することによって鋳造性の改善を図った合金であり、自動車用エンジン部品など使用量も多い。
 
Al-Cu-Ni-Mg系合金(AC5A)
この合金は、高温での使用でも硬さを保持させようと改善した合金であり、耐食性は劣るが切削性や耐摩耗性にすぐれています。従来はエンジン用部品として使用されていたが衰退の一途をたどり、現在は、切削性と耐摩耗性に注目され、ビデオレコーダのドラムなど精密加工を要するしゅう動部品などに使用されています。
 
Al-Si系合金(AC3A)
この合金は、Siだけを合金元素として添加したもので、鋳造性にすぐれている。強度は高くないが伸びは大きく、熱膨張係数が小さく、耐食性もよい。したがって、強度はあまり必要とせず、薄肉で複雑な形状や模様を呈する門扉やカーテンウォールなどに適しています。
 
Al-Si-Mg系合金(AC4A,AC4C,AC4CH)
この合金系は前記のAl-Si系合金のSi量を減らして、Mgを少量加えた合金であり、すぐれた鋳造性を維持したまま機械的性質を改善した合金です。主な用途は、エンジン部品、車両部品、船舶用部品などがあげられます。AC4CH合金はAC4C合金の強靱性の向上を意図して不純物の含有を厳しく規制したものであり、自動車用ホイールなど保安的要求が高い部品に多く使用されています。
 
Al-Si-Cu系合金(AC4B)
この合金系は、Al-Si系合金のSi量を減らして、Cuを添加した合金であり、耐食性はCuを含有するため劣るが、鋳造性にすぐれ強度も高いので、自動車用、電気機器用、産業機械用部品など広い分野で利用されています。
 
Al-Si-Cu-Mg系合金(AC4D)
この合金系は、前記のAl-Si-Mg系AC4C合金のSi量を若干低くして、Cuを添加した合金です。鋳造性としての引け特性にすぐれているため耐圧性、耐熱性があり、シリンダーブロックやクランクケースなどエンジン部品や油圧機器部品に使用されています。
 
Al-Si-Ni-Cu-Mg系合金(AC8A, AC8B, AC8C)
この合金系は、前述のAl-Cu-Ni-Mg系合金のピストンとしての不十分な特性を改善するため、Cu量を半減させSi添加量を大幅に増やして熱膨張係数を小さくし、耐摩耗性を高めた剛性の高い合金です。もちろんエンジン用ピストンに使用されています。
 
Al-Si-Cu-Mg-Ni系合金(AC9A,AC9B)
この合金系は、Si量が最も多く、AC9A合金は23%Si、AC9B合金では19%Siを含有しています。前記のAL-Si-Ni-Cu-Mg系合金よりもさらに熱膨張係数が小さくした合金であり、高い剛性と耐摩耗性があることから2サイクルエンジン用ピストンやディーゼルエンジン用ピストンなどに使用されています。
 
Al-Mg系合金(AC7A)
この合金系は、代表的な耐食性合金で強さも伸びも高く、切削性にすぐれています。合金の化学組成から熱処理によって強度を向上させることができない。また、溶湯は酸化やガスを吸収しやすいため鋳造性が悪い欠点がある。
主な用途は、架線金具、船舶用品、建築金具、事務機器部品などに用いられています。
 
鋳造用合金-ダイカスト用合金
ダイカスト用アルミニウム合金は、加圧力を作用させて金型に高速で溶湯(溶解したアルミニウム)を注入させるのに都合のよいものが選ばれています。複雑な形状の部品をネットシェイプにつくるため、溶湯には高い流動性が求められ、また、金型への焼付きを予防するため、砂型・金型用合金では不純物とされる少量のFeを故意に添加しています。
なお、ダイカストは溶湯を高速で金型内へ射出注入するため空気を巻き込みやすく、つくられた鋳物に高温加熱を行うと巻込まれた空気が膨張してブリスターと呼ばれる内部欠陥を発生するため、通常は熱処理をしないで使用されています。
ダイカスト用金型は冷却能が大きく、速い冷却速度で成形(急冷凝固)されることによって微細な組織が得られ、高い機械的性質の製品をつくることができます。また、急冷凝固は機械的性質に及ぼす不純物の影響を受け難くしているので、多くの再生地金が使用されています。
 
Al-Si系合金(ADC1)
この合金は、前述の砂型・金型用のAC3Aと同じような組成の合金であり、鋳造性と耐食性がよい特性から高い強度を要求しない薄肉・複雑形状の鋳物に適しており、自動車メインフレームや自動製パン器内釜などの適用例があるが使用率は少ない。
 
Al-Si-Mg系合金(ADC3)
この合金は、砂型・金型用のAC4Aと同類の合金であり、機械的性質と耐食性がよいため自動車や自転車用部品として使用されることがあるが、使用率は少ない。
 
Al-Si-Cu系合金(ADC10, ADC10Z, ADC12, ADC12Z)
この合金系は、砂型・金型用のAC4Bに相当する合金で多量のSi添加で鋳造性を改善し、Cuの添加で強度を高めた合金であり、ダイカスト用合金の中で特性を総合して見た場合、鋳造性に優れた高力合金として位置づけられており、その用途は広く、使用量も多い。特に自動車エンジン部品や電気機器部品におけるシェアが高い。
合金記号の末尾にZを付けた合金は、海外規格との整合化のために1992年のJIS規格改正時に採用されたものであり、不純物としてZnを3%まで許容したものです。
 
Al-Si-Cu-Mg系合金(ADC14)
この合金系は、当初はエンジンブロックの軽量化を目的として開発されたもので、強度、耐摩耗性にすぐれ熱膨張係数が小さいのが特徴である。自動変速機用オイルポンプボディやハウジングクラッチなどに使用されています。
 

押出・引抜とは
押出加工
押出加工はアルミニウムやアルミ合金を400〜500℃の熱間で押出す加工方法です。一般には円柱の鋳塊(ビレット)を押出機を用いて、強い圧力を加えて各種の形状をもつダイス穴から押出して、細長い加工製品(押出材)をつくります。
この方法によると、他の加工法では製造することがむずかしい中空品や複雑な断面形状の製品でも、1回の押出工程で容易につくることが可能です。また寸法精度の非常にきびしい形状の製品をつくることもできます。
引抜加工
引抜加工とは、素材を加熱することなく室温で素材をダイスの狭い孔に通して引抜くことによって加工する冷間加工方法です。引抜く素材は一般に押出材が多く用いられます。
引抜は一般的に押出形材よりも細くて寸法精度がよく、表面のきれいな製品をつくることができます。この方法によって主として管、棒がつくられますが、これらは引抜材と呼ばれています。
押出機
押出機には油圧式押出機と水圧式押出機の2方式があり、圧力筒およびラムが水平になった横型(水平方向に押出加工する)が多く使用されています。もっともポピュラーな横型油圧式押出機では、そのほとんどが固定したダイスにビレットを押付けて押出す、直接押出法を採用しています。
押出機は押出能力が500〜3,000トン級のものが一番多く使用されていますが、大型押出機に対する関心も高まっています。わが国では最大9,500トンの横型油圧式押出機が稼働中ですが、世界では14,000トンといった水庄式大型押出機もあります。

鍛造
素材を油圧または水圧プレスあるいはハンマーなどで鍛練し、粘り強さを与えながら必要な形にしていく方法を鍛造といいます。鍛造は平らな金敷の上で押しつぶして成形する自由鍛造と、鍛造すべき製品の形を上型・下型に彫り込んで、その型内で成形する型鍛造の2つに分けられます。
鍛造によってつくられた製品(鍛造品)は、強度が大きく衝撃や繰り返し応力にもよく耐えることができ、信頼性の高い製品をつくることができます。この特性を生かして鍛造品は航空機用部品や自動車の重要保安部品として使用されています。また、一般工業用部品としても高速回転機器部品や高い負荷のかかる機械部品などに広く使用されています。

鋳物
溶融状態のアルミ合金(アルミ溶湯)を鋳型に流し込んでそのまま冷却し、所定の形状の製品をつくる方法を鋳造といい、その製品を鋳物といいます。鋳造の代表的な方法には砂型鋳造・金型鋳造・低圧鋳造・スクイズキャスティング・タイカストなどがあります。
シェルモールド法
けい砂に熱硬化性樹脂の粘結材を混合したものを鋳物砂に用い、金型に焼付けて薄いシェル型をつくり、これを鋳型とする鋳造法です。砂型でありながら金型鋳造と同等の寸法精度が得られる特徴があります。またシェル鋳型は強くて吸湿性がないため長期保存ができ、型の運搬も容易で、中空鋳物の中子としても使われています。
比較的小さな鋳物製品をある程度量産するのに適した方法です。
金型鋳造法
鋳鉄や耐熱合金鋼でつくられた鋳型で成型する方法です。アルミ溶湯の重力のみによって鋳造するため、重力金型鋳造法とも呼ばれます。
砂型鋳造にくらべ、鋳造時の冷却速度が速く、鋳物の表面(鋳肌)が美しく、寸法精度のよいち密な鋳物ができる特徴をもっています。また金型は砂型に比べ製作費用がかかりますが、くり返し使用できるため量産に適した方法といえます。
低圧鋳造法 ダイカスト法
金型鋳造の一種で、炉内の溶湯面に低い圧力を加えてアルミ溶湯を押し上げ注入し、注湯完了と同時に圧力を加えたまま凝固させる方法です。材料にムダがなく、均一で高品質鋳物ができるのが特徴です。
あまり大型なものは少ないが、鋳造品の大量生産に適した方法です。
耐熱性鋼でつくられた複雑な形状の金型に、アルミ溶湯を高速・高圧で注入します。製品の鋳肌がきわめて美しく寸法精度にすぐれた薄肉鋳物を短時間で大量生産することができます。しかし溶湯を金型に高速で圧入するため、空気や酸化物を巻き込んで鋳物の中に気孔(鋳巣)ができやすい問題があります。近年、気孔を少なくした方法がいろいろ考案されています。
アキュラッド法、無孔性ダイカスト法(酸素雰囲気)や真空ダイカスト法、低速充填ダイカスト法などが開発され、実用化されています。
無孔性ダイカスト法は、鋳込む前に活性な酸素ガスで鋳型内の空気を置換しておきます。この鋳型内の酸素は、注入時にアルミ溶湯と反応して酸化アルミニウムとなり、それが溶湯中に分散して凝固するため、製品内にガス体が残らず、気孔として存在しないので、加熱してもふくれは発生しません。
スクイズキャスティング
溶湯鍛造法、高圧凝固鋳造法とも呼ばれる製造方法で、金型内にアルミ溶湯を入れ、プレスによって溶湯に機械的な高圧力を加えながら凝固させます。機械的強度が高く、鋳肌・寸法精度・耐圧もれ性にすぐれており、高品質な鋳物を得る方法のひとつです。